岐阜市民病院 佐々木裕介 リハビリテーション科部長
これまでは「病気になったら安静にしましょう」と言われてきましたが、最近では逆に動くことが大切であることがわかってきました。健康な人でも2週間あまり動かない生活を行うと、筋肉が1kg以上も落ちてしまいます。
不必要な安静は治療や回復に悪影響を与えることがわかっていますので、入院中でもなるべく早めに体を動かし、活動量を保ちつつ、運動を行っていくことが勧められます。
♥運動にはどのような効果がありますか?
運動することは、さまざまな病気の予防・治療に役立ちます。関節痛・腰痛の改善、骨密度の増加、動脈硬化の改善、高血圧、糖尿病、心臓・肺・腎臓の病気の改善、脳卒中やアルツハイマー型認知症の予防、「がん」の予防効果があります。また、うつや不安が軽くなるなど心理的な効果もあります。
運動は体にさまざまな変化を起こしますが、特に注目されているのが筋肉です。近年の研究では、運動することで筋肉から出された多くの物質が全身に作用することによって、体に大きな影響を与えることがわかってきました。ある細胞は、運動によって筋肉から出る物質と協力して、がん細胞を攻撃し、がん細胞を減らします。
運動は、驚くほどさまざまな効果を発揮します。まさに万能薬といってもよいでしょう。
♥どれぐらい運動すればよいでしょうか?
息がはずみ汗をかく程度の運動を毎週合計3~5時間行うことがよいとされています。最低でも1週間に1時間以上は行うと健康増進効果があります。65歳以上ではそれより少なくてもよいですが、体力のある人は多く行うとより効果が見込めます。
運動時の症状や持病のある人は、かかりつけの医師に確認しましょう。
問合せ:市民病院リハビリテーション科
【電話】251-1101