岐阜市の未来を担う子どもたち。夢や目標に向かってひたむきに努力する姿は、私たちに感動を、そして元気を届けてくれます。そうした、きらりと輝く「ぎふっこ」をシリーズでご紹介します。
■ライフル王国・岐阜
「岐阜方式」で礎を築く
全国屈指のライフル王国・岐阜市。全国大会で多くの優勝者を輩出するなど、全国でも強豪県として名を馳せています。その強さの秘けつは、「岐阜方式」と呼ばれる幼少期から練習ができる環境が整備されていることにあります。子どもを対象にした教室でライフル競技の基礎力を鍛えることで、ライフル王国の礎を築いてきました。市では、平成15年度から、市内の小中学生を対象に、普段経験する機会の少ないスポーツを体験してもらう「アビリティアップクラブ」の1競技としてビームライフル射撃を指定。これまでに、約150人の小中学生が参加しています。約30年前から、市内でライフル射撃の指導にあたってきた鷲見勝彦さんは、「市の補助金などで道具をまかなってきた。小さな子でも練習に励むことのできる環境が整っているのはありがたい」とし、「他県に比べて競技人口も多く、全体的にレベルが高い。身近にライバルがいることで、日ごろから切磋琢磨できる環境にある。今後も、世界で戦える選手を育てていきたい」と話します。今年度、主な全国大会で優勝を果たした3人の小中学生を紹介します。
⇒ライフル競技とは 離れた的に向かって、ライフルで中心点を狙う競技。時間内に決められた弾数を撃ち、合計得点を競う。実弾を使用せず光線を撃つビームライフル、実弾を使用して空気の力で弾を撃つエアライフルなどがある。
■平野 麻衣さん 七郷小学校3年生
◇ビームライフルを始めて約1年
最年少で初優勝を果たした期待の新人
昨年8月に宮城県で開かれた「第5回全日本小学生ライフル射撃競技選手権大会」のビームライフル立射40発に出場し、最年少での優勝を果たした平野麻衣さん。「まさか優勝できるとは思わなくてびっくりした。嬉しくて震えた」と顔をほころばせます。昨年7月に開催された「平成29年度ヤングスターランクリスト競技大会サマーカップ」ビームライフル少年男女自由姿勢40発での優勝に続く2度目の全国大会制覇を果たしました。
ビームライフルを始めたのは、小学2年生の夏。すでに競技を行っていた姉・真歩さんの指導者に「一緒にやってみないか」と誘われたことがきっかけでした。「姉の姿がかっこよくて、興味があった。やってみたいなと思っていたので嬉しかった。始める前は難しそうだと思っていたけど、思い通りに撃てて楽しかった」と当時を振り返ります。
競技を始めて約1年。体格や体力が伴わない低学年には難しいといわれる立射に、大会史上最年少で挑戦します。初出場ながら、年上の選手と互角に戦い、436点中397点と予選を1位で通過して決勝戦に挑みました。決勝戦は、勝ち進んだ8人が5発を2回撃った後、それぞれ2発ずつ撃ち、得点の最も低い選手から脱落していく勝ち残り形式。序盤は5位からのスタートでしたが、安定した戦いを展開し、25発目で最後の相手となる6年生の男子選手に1.1点差で勝利しました。「集中すると周りのことが気にならなくなる。大会では全然緊張しないで、練習の成果が出せた」と分析します。
麻衣さんは4人兄弟の末っ子。母・明子さんは「兄弟の中でも一番の負けず嫌い。甘えっ子で、親から離れようとしない子だったが、競技を始めてから自立してきた」と目を細めます。4月からはルールが変わり、立射が40発から60発になる予定だといい、麻衣さんは「体力が必要となる。連覇できるよう頑張りたい」と闘志を燃やします。