「東京オリンピック・パラリンピック」ターゲットエイジ育成事業で今年度、新たに強化指定選手に選ばれた4選手を連載で紹介!岐阜市から世界を見据え、2020年の夢舞台を目指す選手たち。その並々ならぬ努力の裏側に迫ります。
二ノ宮寛斗さん(20) 明治大学
レスリング
「世界で戦える選手を目指して」東京オリンピックを目指し、日々練習に励む
レスリングとの出会いは、中学3年生の時。岐南工業高校レスリング部の体験入部に誘われたことがきっかけでした。小中学生の時は柔道を習い、県大会で優勝するほどの実力で、高校でも柔道を続けるつもりでしたが、先生からの「レスリングで全国を目指さないか」という言葉でレスリング部への入部を決意。高校に入学し、練習漬けの毎日が始まりました。「岐南工業高校の練習量は日本一と言われていて、始めは本当につらかった」と入部当時を振り返ります。
「柔道とレスリングは通じるものがあった。相手が投げ技を仕掛けてきた時の反応や相手を崩すような足技は柔道で培った部分が今でも生きている」と二ノ宮選手。レスリングを始めてわずか4か月で高校総体に出場。岐阜県で優勝、全国でベスト8の成績を残します。「その頃は柔道の延長線上のような感じで、レスリングに慣れてきた頃だった」と自分自身のレスリングに対して自信を持ち始めていました。
しかし、その後出場した全国高校選抜大会で、転機となる試合を経験します。順調に勝ち進んでいきましたが、準決勝の相手に完敗を喫します。「今までに経験がないくらいに圧倒されて手も足も出なかった。格が違った」と悔しそうな表情を浮かべます。「その試合を経験してもっと頑張らないといけないと思った。常に『勝ちたい』という気持ちを持つようになった」とその試合後、今まで以上に練習に打ち込みます。そして、高校3年生では国体で優勝、大学入学後も大会で上位を獲得するなど結果を出していきました。
昨年12月に開催された全日本選手権では3位に入賞しましたが、「レスリングを高校から始めた自分とは違い、小さい頃から始めていた人とは技術や経験が違う。やっと少しずつ追いついてきたところ」と話します。オリンピック出場のためには、まずは日本一を目指し全日本選手権での優勝が必須。さらに、その先には世界選手権など世界の強豪も待ち受けています。「世界の選手とは手足の長さやパワーで負けている。これからはフィジカル面を鍛え、技術もさらに磨いていきたい。自分の得意技を増やし、どんな相手にも対応できるようレスリングの幅を広げたい」と世界を見据え、日々の練習に力が入ります。
「試合に勝てば勝つほど、より強い選手と出会う機会が増えた。そのたびに負けたくないという気持ちが芽生えた」と二ノ宮選手。体格の小さい日本人に不利と言われる重量級でメダル獲得が期待されます。「年齢的に最高のタイミングで東京オリンピックがある。生きているうちに一度あるかないかの機会なので必ず出場したい。レスリングを知らない人にも魅力が伝わるように、自分が活躍したい」と気合いが入ります。