■「飛行リングの条件と飛距離との関係ーA4のコピー用紙1枚の挑戦ー」
山田 佳歩(かほ) さん長良東小学校6年生
小学1、 4年生の時に、紙の性質や強さなどの研究を行っていた佳歩さん。インターネットで知った 「X‐ZYLO (エックス ジャイロ) 」 という円筒状のプラスチックでできた玩具を見て、紙で同じものを作った場合、どういう条件が最も飛距離が出るかを調べたいと思ったことが今回の研究を始めるきっかけでした。
実験は、A4サイズのコピー用紙で作った円筒状の飛行リングを投げて飛距離を計測。 「全部で1千68個の飛行リングを作成して、5千回以上の実験を繰り返したことが一番大変だった」 と振り返るように、頭 (先端部分) としっぽ (胴体部分) の長さの比率や頭の部分を折りこむ回数、円の直径などの条件を変えて、さまざまなパターンの飛行リングを自分で作成。飛行結果について表とグラフに示し、どの条件で一番飛距離が出たかを調べ上げました。すべての結果を表にし順番に並べた結果、 「頭の長さが1cm、直径が6cmか8cm、しっぽの長さが3cmか4cm、頭を折る回数が13折か14折」 の時に、飛距離が長い傾向にあることが分かりました。さらに実験を重ね、頭としっぽの重さの割合が 「5:1」 の時に、最も飛距離が長くなることを発見しました。
佳歩さんはこの研究について 「正確なデータを得るために、条件を変え、何度も実験と考察を繰り返した。理科の基本を大切にして研究を進めることを意識した」 と振り返ります。審査員からも理科の基本である 『疑問→予想→実験→結果→考察→新たな疑問』 という流れができており、実験データを分かりやすくまとめていると高く評価されました。
小学校の6年間、日常生活で当たり前に見るものに疑問を持ち、自分の生活体験も研究に生かしてきた佳歩さん。 「身近にあるものを研究して、初めて知ることや新たな疑問が生まれることが楽しい。これからもいろいろなものに興味をもって追究していきたい」 と笑顔で話します。普段の生活で、多く人が気に留めないことに疑問を持つ着眼点と丁寧な研究は、今後もさまざまな分野で生かされていくことでしょう。
このほか、中学生の部では岐阜大学教育学部附属中学校2年生の櫻井竣悟くんの 「田んぼのジャンボタニシ6」 がサイエンティスト賞に選ばれました。市内で行われた表彰式では、カーボンナノチューブを発見された名城大学終身教授の飯島澄男さんから4人の受賞者にトロフィーが手渡され、受賞者を代表して櫻井くんが感謝の意を述べました。市では、 『ぎふっ子からノーベル賞を』 を合言葉に、専門性の高い理科授業をはじめ、科学漬けの合宿 「ぎふサイエンスキャンプ」の開催など、子どもたちの自然科学に対する関心を高める取り組みを実施し、理数教育の充実を図っています。今後も 「教育」 で選ばれる岐阜市を目指して、子どもたちの能力を最大限に伸ばし、可能性を開花させる教育を推進していきます。