岐阜市の未来を担う子どもたち。夢や目標に向かってひたむきに努力する姿は、私たちに感動を、そして元気を届けてくれます。そうした、きらりと輝く「ぎふっこ」をシリーズでご紹介します。
市内の小中学生が夏休みに取り組んだ科学や自然に関する研究などを展示する 「岐阜市児童生徒科学作品展」 。その中で特に優秀な作品を手掛けた児童・生徒に 『ぎふっ子サイエンティスト賞』が贈られました。受賞した小学生3人の研究内容などを紹介します。
■「めだかのひみつ、みつけたよ。~げんきに すいすい めだかのがっこう~」
武藤 咲愛(さくら) さん岩野田北小学校1年生
小さな頃から毎日のように自然と触れ合ってきたという咲愛さん。ともにサイエンティスト賞を受賞した2歳上の兄・佑真くんの影響を受け、小学生になったら科学作品展に挑戦してみたいと、強い思いを持ち続けてきました。
今回の研究は祖父にもらったメダカ12匹に名前を付けることから始まります。 「どういう場所が住みやすいんだろう。メダカが喜ぶメダカハウスを作りたいな」 との思いで研究を進めていきます。オスとメスの形の違いや卵から孵化した後の成長過程、好きな水草の種類は何かーといった3つの疑問を持ち、7月に研究をスタート。その後、観察を通して新たに気付いた7つの疑問を解明しようと、丹念に研究を続けていきます。最後のまとめでは、メダカの好きな黒色の容器に大好きなカボンバの葉を入れ、明るい場所に設置した “めだかのがっこう” を作りました。
研究の中で一番大変だったのは、オスとメスの体の特徴を調べることだったという咲愛さん。「メダカは水槽の中で元気よく泳ぐので、オスとメスの体の特徴を見つけ、それぞれ別の水槽にわけるのが難しかった」 と苦労を語ります。 「分かったことや考えたことを素直に自分の言葉で書き表したりするなど、まとめ方の工夫がみられる」 と審査員の講評にもあるように、地道な実験を丁寧に続け、スケッチやグラフ、写真などを使って、ファイル2冊にわたって自分の言葉で分かりやすく研究内容をまとめ上げました。
「メダカが大好きで、毎日見ていた。メダカの卵を観察したら、小さな心臓が動いているのが分かった。観察はとても楽しかった」 と笑顔で話す咲愛さん。今ではメダカの数も増え、5つの水槽で約110匹が元気に泳いでいると言います。メダカを大切に思う気持ち、自然を愛する咲愛さんのやさしい気持ちが、今回の受賞につながりました。
■「子葉のひみつ、みつけたよ~子葉はどんなはたらきをしているのか~」
武藤 佑真(ゆうま) くん岩野田北小学校3年生
4月から学校の授業で育てていたホウセンカ。最初に出る2枚の子葉が、成長するとなくなっていることに気が付きます。 「大切に育てていたホウセンカの子葉が出た時は、とてもうれしかった。枯れてしまった時は少し寂しかった」 と語る佑真くん。成長過程でなくなってしまった子葉の働きについて調べてみようと思ったのが、今回の研究を始めたきっかけでした。
研究は、14項目の疑問を挙げ、ホウセンカやインゲンなど5種類の植物を育てながら、表やグラフ、写真、スケッチなどを使って、一つ一つ丁寧にまとめ上げました。 「毎日観察することは大変だったけど、それより結果をもとに分かったことや考えたことを文章にまとめるのが難しかった」 と語るように、すべての疑問について、予想、方法、結果、考察を記し、最後には根拠を明らかにしながら理論立てて発見した内容をまとめました。
研究を続ける中で、インゲンの子葉には発芽するための栄養を蓄えておくタイプと、その後に出てくる自分で栄養を作るタイプの2種類の子葉があることを見つけました。 「大発見できてうれしかった。インゲンが工夫しながら大きく成長していく様子に、植物のすごさを知った」 と驚きを隠せません。時には実験が失敗し、うまくいかないこともありましたが、試行錯誤を重ねて粘り強く取り組んだ今回の作品。 「結果を知りたいという思いで、何回も挑戦した。いろいろな方法を考えるのは大変だったけど、最後には成功できてうれしかった」 と喜びます。
小さな頃から豊かな自然に囲まれて育ってきた佑真くん。 「調べたり、研究することが好き。自然とふれ合う中で、まだまだ調べたいことがたくさんある。これから解明していきたい」 と目を輝かせます。いろいろなことに疑問を抱くその純粋さと、理論立てて最後まで丁寧に研究に取り組む根気強さで、また新たな発見をする日も遠くはないかもしれません。