スロバキア共和国のホストタウン・岐阜市 市長 細江茂光
現在2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、急ピッチで国を挙げての準備作業が進められています。大会用の競技施設、選手や観客のための宿泊施設、輸送手段や道路整備など大会開催地域における直接的な投資にとどまらず、その効果を地方にも波及させるためのさまざまな取り組みも行われています。一昨年、地方の潜在的観光資源の発掘のため 『日本遺産』 の認定制度が始まり、岐阜市の 『 「信長公のおもてなし」が息づく戦国城下町・岐阜』 がその第一号認定を受けたのは記憶に新しいところです。折からの世界的な観光ブームを追い風とした積極的な外国人観光客の誘致活動の結果、2020年の目標2千万人に対し、2016年の訪日外国人観光客は2千400万人を上回る結果となりました。今年2017年はひょっとすると3千万人にも届かんとする勢いです。
また、東京オリンピック・パラリンピックの参加国と地域が人的・経済的・文化的交流を図ることで大会のレガシー (遺産) を地方にも残し、結果として地域のグローバル化、活性化、観光振興を図ろうとする 『ホストタウン』 構想も重要な取り組みです。今年7月現在、全国で179件が登録されており、岐阜市もスロバキア共和国のホストタウンとして登録されています。今年度 「岐阜市ホストタウン推進本部」 を設置し全市を挙げての取組体制を構築するとともに、7月にはスロバキアを訪問し、かつて駐日本国大使の経験もあるライチャーク外務・欧州問題担当大臣やスロバキア・オリンピック委員会のシーケル会長をはじめ、同国のパラリンピック委員会会長、卓球連盟会長、カヌー連盟会長とも面談の上、事前合宿や市民との交流などについて協議を行うとともに岐阜市への視察の要請を行いました。
スロバキアは、日本と同様に高いレベルにある卓球に加え、カヌー競技も強く、昨年日本代表としてリオデジャネイロ・オリンピックで銅メダル (カヌー・スラローム) を獲得した羽根田卓也選手も10年以上にわたりスロバキアで練習をしています。大会前後には選手ばかりではなく、同国から多くの観光客にも岐阜市を訪問してほしいものです。スロバキアの首都ブラチスラバ市は人口約43万人、ドナウ川に面する小高い丘にブラチスラバ城が聳 (そび) えるさまは、岐阜城を頂 (いただ)く金華山の麓(ふもと)を長良川が流れる、人口41万人の岐阜市とうり二つです。同市のファルカソブスカ副市長との面談時にも将来に向けて両市の都市間交流を活発にしていくことで意見の一致をみました。「信長公のおもてなし」の心でスロバキアの人々をホスト(おもてなし)しようではありませんか。