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市長の元気宅配便334 平成29年11月1日号

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岐阜県岐阜市

ロボット全盛時代と 『心』
昭和30年代から40年代にかけて手塚治虫作の「鉄腕アトム」が初の国産テレビアニメとして一世を風靡 (ふうび) しました。当時小学生だった私もそのSFマンガに大いに魅了された一人でした。当時のことですから、まさか人間の言葉を話し、空を飛ぶロボットの存在など夢のまた夢という世界でした。アトムは様々な能力を備えていたにもかかわらず、芸術や自然への感動や恐怖心などの複雑な感情を持てないことに悩んだ末に、お茶の水博士に人造心臓を取り付けてもらい人間と同じ感情を持つに至ります。しかし両親を救うための戦闘でせっかく手に入れた人としての感情である 「恐怖心」 が災いしたことからその人造心臓を破壊する云々というストーリーで、人間的感情に対する悩ましい葛藤 (かっとう) が印象的でした。
さて昨今は第4次産業革命の重要性が叫ばれ、IoT(家電や工場生産工程などモノがネットワークにつながり、相互に制御する仕組み) 、人工知能 (AI)、ロボット、ビッグデータなどを語らずして将来の産業像、国家像を描けない時代が到来したといっても過言ではありません。こんな中、政府は2020年度 (平成32年度) から全国の小中学校でプログラミング教育を導入すると決めました。岐阜市では国に先駆け今年度から、市内全ての小中学校でプログラミング教育を導入しました。これからは人工知能に考えてもらい、ロボットに肉体労働をしてもらうことで、今まで人が従事してきた多くの仕事が人工知能やロボットに取って代わられようとしています。ほとんどの業務をロボットがこなす 「変なホテル」 という一風変わったホテルも登場し大いに好評を得ているようです。
しかし人工知能やロボットが人間のすべての仕事に取って代わることができるわけではありません。人間ならではの心(感情・感性)を必要とする芸術や文化などの創作活動、人の身体や心の痛みへの理解が必要な看護や介護の分野など、人が活躍しなければいけない仕事は山ほど残っています。またこれらの人工知能やロボットには人が心 (命) を吹き込む作業が必要です。 それがプログラミングです。ロボットの動かし方、話し方を人間がプログラムしてあげることで初めてロボットは働き、考えるのです。
最近「シンギュラリティ2045」と言われます。今から30年後の2045年には人類の知恵の総和 (総合計) を人工知能のそれが上回る時代が到来するというのです。ロボットや人工知能はあくまでも人の能力を拡張させるものであるべきです。岐阜市民病院で最近導入した手術支援ロボット「ダヴィンチ」は医師の負担軽減と手術精度の向上に大いに役立っています。人が作ったロボットや人工知能が人の制御不能になることなど、SF (空想) 映画の世界の話にとどまってほしいものです。

       

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